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今日を初めてにする、ウェルエイジングマガジン

コンプレックスはアイデアの種「毎日がきっと新しくなる、今日だけの服の選び方」

「人生初を、いつまでも。」を掲げるウェルエイジングカンパニー・Q'SAIは、年齢に捉われず、いくつになっても新しいチャレンジを始めたい方々のよき伴走者でいるために、「今の生活習慣から一歩前進するきっかけ」を発信しています。
特集テーマ「朝活」では、朝食をとる、歯を磨く、顔を洗うといった当たり前の習慣の見直しや、イキイキとした一日を始めるための秘訣をご紹介。美容や食、運動、ファッションといったライフスタイルの切り口から、新しい生活習慣を始めるきっかけを、お届けします。

私は、一日のはじまりに「テーマを決める」という癖がある。
そして、そのテーマに合わせて、「今日だけの服」を選ぶのが好きである。

最近は、パーソナルカラーだったり、骨格にあわせたスタイリングの情報がたくさんあって、私も大いに参考にしてる。だけどそれだけでは測れない、その日にしかないものに想いを馳せて、選んでいくのがとても好き。

この「テーマを決める」が癖になってから、私は、コンプレックスとうまく付き合えるようになった。なんでもない毎日が、新しい毎日になった。ので、今日はその選び方のレシピと、エピソードを書いてみます。

テーマを決めるには、まず材料集めから。
材料にはいくつかパターンがある。


材料その1、鏡に映る自分。
起きたら最初に洗面台に行くんだけど、鏡に映る自分の顔を見ながら、体調や気分をたずねる。

たとえば「顔も目もむくんで、声もガラガラ。昨晩飲みすぎたか〜」、そんな日のテーマは「路地に佇むジャズシンガー」にしてしまう。むくみに逆らってアイラインを引いてみたり。多少の気だるさが、どうか色っぽさに化けますようにと、ベロアのセットアップを着てみたり。身支度中のBGMもジャズにすると、コンビニ行くだけの道のりにすら何か始まりそうな予感が漂ってお得。


材料その2、町。
「今日のお出かけ先は、どんな町?」せっかくなので、コーヒー飲んでる時間だけでも、文化や歴史を調べて遊ぶ。その町を歩く自分を想像して、似合う色や形を考えてみる。

たとえば、神戸で用事の日は「波止場がつなぐワールドワイド」がテーマ。アメリカ古着のパンツ、海風に揺れる青いカンフーシャツ、ピアスはタイのカレンシルバー。今、自分が纏っているものは、どこで作られ、どう運ばれ、私の元にやってきたんだろう。今、自分の身体には、どれくらいの数の国が触れているんだろう。脳内航海をしながら歩く港町は、一段と広く見える。帰りに立ち寄る高架下の町中華、チャイナボタンに青島ビールが似合うこと似合うこと。

材料その3、人。
これが一番楽しい材料。その日に会う人の要素をほんの少し盗むのだ。相手の服装のテイストに合わせるという意味ではなく、その人が好きなこと、大切にしていることに寄り添う、という感じ。

元バスケ部の先輩に誘われた久々のお茶。あの日は「卒業後も応援するマネージャー風」だった。ええ大人になったし、ええワンピース着るけれど、その上にバスケタンクを重ねてみる。「めっちゃ意識してくるやん!」といじられるけど、それでいい。それがいい。隣に座ってる先輩のお子さんも、バスケに興味が向きつつあるようで、「僕もそういう服、持ってんで」と話が弾む。ま、私は球技全般、全然ダメなんやけどね。

私がこうしてテーマを決めるようになった背景には、過去の私のファッションに対するコンプレックスがある。ちょっとだけ、昔話をします。


私の母と父は、ファッションの好みが見事に真逆だった。母は、ビーズ刺繍のフリルワンピースを私に着せて拍手してたし、父は白シャツにダメージデニムが制服で、私が真似すると喜んだ。私はそんな二人の趣味を行ったり来たりしながら、中学生になった。

春休みのある日。私はお年玉袋から5000円を引き出して大阪アメ村の古着屋へ。自分のお金で、自分で服を選ぶという初イベント。壁一面に飾られたカラフルな雑貨、海外の柔軟剤のあまい香り。夢の中みたいだな、と思った。そして買ったのは、アメコミキャラのラグランT。一目惚れだった。

家に帰ってハンガーにかけた。早くこれで出かけたい。でもそれを見て父は、「変わってんなあ、わからんわ」と首をかしげた。母は「パジャマにしてね」と洗濯機に入れた。ふたりとも全然悪気はないし、私も「絶対可愛いし!」と自信があった。けれど、そういったことが何度か続き、ちょっとしたコンプレックスになった。

そういうとき、ファッションから遠ざかるパターンもあると思うんだけど、私の場合は逆だった。やたらと服に執着するようになり、貯金に少しでも余裕が出れば、必ず服に使っていた。しかし、いざ鏡の前に立つと全然うまく考えられず、服装は大迷走。朝の着替えに時間がかかりすぎて、気づけばお昼になるという日々が続いた。

そんな私が服選びを心から楽しめるようになったきっかけは、服飾の道に進んだ友人の存在だった。

彼女からすれば私の服装はチグハグだったろうに、「私ってどんな服が似合うんだろう」と聞いても「好きなかっこしてるのが似合うよ」とばかり言っていた。でも、雑誌を見ながら「こんな風になりたい」と言ったときには、おすすめの場所に連れてってくれた。あれ、「誰かが似合うと思った服装じゃなくて、まずはあなたの意志で」ってことだったんだろな。

彼女の服の選び方は、いつも素敵だった。
いろんな姿の彼女といると、同じ場所でも違って見えた。

一番覚えてるのは、私の大学の卒業式。会場を出ると、お祝いに駆けつけてくれた彼女がいた。彼女は、ニットで編まれた花がいっぱい付いた服を着て、「おめでとう!」と飛び跳ねていた。うれしくてハグして写真を撮ったんだけど、あとから見返すと私、可愛いブーケを抱えてるみたいだった。あの日、周りより地味な着物と袴を選んで、少しそわそわしてたけど、彼女と写る私は、誇らしそうな顔だった。

だから、ああ。書きながら今改めて思ったけど、私はほんとに彼女の影響が大きいな。毎朝「テーマを決める」というアイデアが生まれたのは、過去のコンプレックスと、彼女のおかげ。服を選ぶときにいつも引っかかっていた、何年も前の声や目線を、彼女のその日その瞬間の姿が、言葉が、楽しむ力に変えたんだと思う。

そうして、私にとって服を選ぶことは、今日の自分がどう生きたいかを選ぶことの、ひとつの方法になった。

私は、一日のはじまりに「テーマを決める」という癖がある。
そして、そのテーマに合わせて、服を選ぶのが好きである。

今の自分の気持ちを聴いてみる。今日会う誰かや何かに想いを馳せて、「こんな日だといいな」を描いてみる。その結果、選んだのがよく着る服でも。出かけ先がよく行く場所でも。決まって会う人との、慣れた予定だとしても。そこに新しいテーマがあれば、私の人生は、毎日新しい。

そして今日が終わるとき、もしも「こんな日だといいな」が叶っていたら、その理由に、「今日自分が選んだこと」を重ねてみる。そうすれば。身体がくたくたでも、メイク落ちかけでも、夜の洗面台の鏡に映る姿を見て、「今日も美しく生きたなあ」と、胸を張れるのである。

Essayist

しまだあや(島田 彩)

HELLOlifeにて教育・就活分野のソーシャルデザインに10年間取り組んだのち、独立。note「今週末の日曜日、ユニクロで白T買って泣く」等が話題となり、作家活動スタート。住まいは大阪と奈良の2拠点。自宅の94%を10〜20代に開放しながら、いろんな生活を実験中。

CREDIT

Text / Aya Shimada
Photo location / VODKA connecting people
Edit / Miki Osanai
Production / Quishin Inc.

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