今日を初めてにする、ウェルエイジングマガジン
「人生初を、いつまでも。」を掲げるウェルエイジングカンパニー・Q'SAIは、年齢に捉われず、いくつになっても新しいチャレンジを始めたい方々のよき伴走者でいるために、「今の生活習慣から一歩前進するきっかけ」を発信しています。
特集テーマ「朝活」では、朝食をとる、歯を磨く、顔を洗うといった当たり前の習慣の見直しや、イキイキとした一日を始めるための秘訣をご紹介。美容や食、運動、ファッションといったライフスタイルの切り口から、新しい生活習慣を始めるきっかけを、お届けします。
漫画家というのはおおむね夜型で、「午前中はとにかく寝たい、朝に活動的になるなんて無理」という人が多い。
私も例にもれず完全夜型、夕方18時頃から仕事のエンジンがかかり始めるような生活を続けること十余年……だったのですが!
思い返せば2023年春、長く続いたコロナ禍も若干終息のきざしが見えかけてきたころ、ステイホームという生活スタイルが身につきまくった結果、私は人生最高体重を達成していたのでした。ちょっともうここでは言えない数字。
体重が増えたこと自体は仕方ないとしても、もともとが一日中座ってるような職業なのでシンプルに体に悪いし、アラフォーという年齢的にも「ここで一念発起して運動習慣を身につけないと真剣にやばい」という気持ちになり、ジム通いを決意。(とはいえ、実はそれまでも入会しては辞めてを繰り返していて、一応いつもやばいなとは思っていた)
しかしね、運動自体が苦手な自分がただジムに行くだけではいつもどおりだんだん足が遠ざかるのは目に見えていたので、なんとか続ける口実が欲しい……と思って、編み出したのが、「ジムにあるトレッドミル(ランニング用のマシン)で走ってる時しか、推しの動画チャンネルを見てはいけない」というマイルールでした。
なんとかしてジムを習慣づけたいと思ってつくった苦しまぎれのルールでしたが、私は年季の入ったオタクなのでなんとこれがてきめんに効いたのだった……。
推し(某男性アイドルグループ)の動画はだいたい1本が15分くらいなのですが、始まったら見終わるまで走り続けるしかなく、しかも、なんとかもう1本見たいと思ったら15分延長になるため自動的にそこそこ運動できる便利システム。
そのうえ毎週1本動画が更新されるので、雨でも元気がなくてもジムに行かざるを得ず、行って見始めると 「そういえばあの動画のここがかわいかった」「ここがよかった」という部分も思い出し、それを見るためにはやっぱり走るしかない。
そんなわけで、私にとってはいつのまにかジムが「運動しに行く」というより「推しを見に行く」場所にすりかわり、ジム通いが日常に組み込まれたのでした。うまく騙されてくれたな、脳よ。
正直、スマホでも家でも動画サイトは見られるので誘惑はものすごくありましたが、その辺は「ここで折れたら マジで終わりだ」という謎の切迫感で乗り切りました。
さて、ここでやっと朝活の話なんですが、なぜわざわざ朝にジムに通っているのかというと、まず運動が好きなわけではないというのがあるんですね。仕事を終えて夕方に行こうと思うと「一日の疲れ」というハードルがひとつ増えてしまうため、いっそ朝子どもが学校行ったらすぐ行っちまおう!と、最近は朝ジムに行くことが多いのです。
なんだかんだ準備してると心がすぐ萎えるので、もう顔もジムに行ってから洗うぐらいの勢いでとにかく家を出るようにして、行ったら30分程度筋トレして、30分走って、サウナと水風呂に短めに入って、サッと帰ってくるまでで1時間半くらい(け、健康~!)。
朝にジム行こうと思うと夜更かしもしてられないので、仕事が立て込んでいなければサッサと寝るようにしていたら、朝にまあまあ起きるようになりました。
「起きれたら行く」ぐらいのゆるい感じでやってるので結局夕方に行くことも多いのですが、そのくらいの「ゆるいペース」が自分には合っているのかなと思っています。あと、基本的に夜型人間だった自分が「朝にジム行くこともある」という状態になってること自体、かなり大きな変化でちょっとうれしい。
朝ジムに行くと、もう結構それだけでせいせいするというか、人も多くないので空いてて気持ちいい。
それと、「朝せっかくジム行ったんだから」という意識から昼ごはんも鳥ハムと野菜とか少し健康的なものにしたり、おやつもナッツとヨーグルトみたいな感じが多くなりました。
「朝」に「ジム」という、これまでの自分からしたら信じられないぐらい不得意なことをやっていることで、「他の生活態度によって無駄にしてなるものか」というもったいない精神が湧いてきて、かなり普段から健康的になったというわけです。
肝心の体重の方は、なんと通い始めてから半年近くビタイチ減らず。かくも手ごわきは我が脂肪よ……などと思っていたのですが、1年経った現在でようやく3キロほど落ちました。それと体脂肪率が4パーセントぐらい下がったのでうれしい! 若干見た目もすっきりした気がします(当社比)。
今回、「朝活」についてエッセイを書いてほしいとお話をいただいたときに、ジムに行く理由が運動じゃなくて推し活だし、朝も毎朝めっちゃ早起きしてるわけでは全然なく、別に何も変わってない部分も多いので大丈夫だろうか……と思ったのですが、少し起きられるようになったとか、前よりちょっと疲れにくくなったとか、サイズアウトして捨てる寸前だったスカートが履けるようになったとか、地味なりにちょっといいなと思う変化がありました。
そこから、これくらいユルユルな話がひとつあっても「これぐらいならできそうかな」と誰かが思ってくれるかも?と思って書いてみた次第です。
「推し活+ゆるトレ+ときどき朝」、運動が苦手でやる気が湧かない人にこそ、おすすめですよ!
Essayist
吉川景都
神奈川県出身。漫画家。2003年少女誌「LaLa」でデビュー。多岐に亘る作風が特徴的で、テンポのいい会話でみせるストーリー、エッセイコミックなどで人気を博す。著書に『片桐くん家に猫がいる』(新潮社)、『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』(ダイヤモンド社)などがある。月刊YKアワーズで『横浜黄昏訥々怪事』(少年画報社)を連載中。
CREDIT
Text&illustration / Keito Yoshikawa
Edit / Miki Osanai
Production / Quishin Inc.