将来について悩んだって仕方がないから、今を楽しく生きる方法を考えるの
2024.11.5
ウェルエイジングなあの人
エッセイストとして、映画や歌舞伎などさまざまなジャンルについて綴り、自由に生きるご自身の生活について発信を続けている中野翠さん。そんな中野さんに毎日を楽しく生きる秘訣について伺いました。


エッセイスト
1946(昭和21)年生まれ、77歳。『サンデー毎日』での連載コラム、『週刊文春』での映画評など、雑誌連載を数多く手がける。著書は『あのころ、早稲田で』『コラムニストになりたかった』『まさかの日々』『いつか見た青空は』など多数。
77歳の引っ越しを機に人生初、〝手放すこと〞を始めました
昨年末の引っ越しが転換期になったと語る中野さん。「これまでずっと、物を手放すことができなかったんですが、引っ越し後の片づけが大変で、初めて本を手放すことにしました。40年以上ため込んだ本の仕分けですから、まるで人生を振り返るような作業でした。そうしているうちにふと、ちょっとだけ仕事の整理もしてみようと考えるようになったんです」

しかしそれは、決して後ろ向きな理由からではありませんでした。「引退後は、手放せない服や、ついつい集めてしまったボタンなどをつなぎ合わせて、簡単な洋服を作るなど、手芸を楽しみたいと思っています。ほかには、絵を描いて過ごしたいとも考えています。文章と違って絵には色をつけられるし、心が解放されるようで好きなんです」
中野さんの机の上には、絵を描くために使っているたくさんの色鉛筆が置いてありました。


長年、秋口に着ているお気に入りの洋服たちを描いていただきました。
もう誰にも文句を言われないから、自由に楽しみましょうよ
「残りの人生が短いことは変わらないから、日々をどれだけ楽しく過ごすかを考えて生きないともったいない」と、中野さんは言います。「未来について悩んでも仕方がないから、私は口に出さないようにしています。この年齢になると、誰かになにかを言われたりすることがなくなるでしょ。だから、実は今が一番自由だと思うんです」と、笑いながら話してくれました。
70代からを愉しく過ごすためのヒントがたっぷり詰まったエッセイ
『いくつになってもトシヨリ生活の愉しみ』中野翠(著)/文藝春秋
定年後は、やっと訪れた「人生の放課後」。あれもしたい、これもしたいと思い続けていたことを、誰にも邪魔されずに愉しめる時間がやってくる。70代、ひとり暮らし歴40年以上の人気コラムニストが、“トシヨリ生活”の秘訣を紹介。老後を愉しく豊かに生きるヒントが満載です。
