寝る前に布団でできる!
病気も疲れも遠ざける〝深睡眠〟ストレッチ
2024.09.09
注目のヘルスケア
寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めるなど、眠りの悩みはありませんか?一般的に「眠る力」は加齢により落ちていくと言われますが、睡眠前の簡単なストレッチで「深い眠り=深睡眠」を手に入れることができます。


RESM新横浜
睡眠・呼吸メディカルクリニック 院長
東京医科歯科大学大学院統合呼吸器病学修了。日本睡眠学会専門医。『誰でもぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム刊)をはじめ著書多数。
ぐっすり眠るためには「長さ」よりも「深さ」が必要
朝早く目が覚めてしまう、夜中に何度も起きてしまうなど、歳をとって眠れなくなったと感じている方も多いはず。これは、加齢とともに睡眠ホルモンが減ってしまうことで起こる、自然なことです。そこで意識してほしいのが、眠りの深さ。下のグラフのように、一番深く眠れて脳がリラックスしている状態である「深睡眠」をしっかりとることがポイント。しかし、深睡眠が訪れるのは眠りの前半4時間のみ。つまり長く眠るよりも、最初にいかに深く眠るかが重要なのです。また、深睡眠をとることで体の機能を修復させ、免疫力を高める成長ホルモンの分泌が促されます。そのため疲れが取れやすくなるほか、近年の研究では、認知症や高血圧など病気のリスクを減らすことも分かっています。そこで今回は、睡眠環境の整え方や簡単なストレッチ法など、深く眠りやすくなるための工夫をご紹介します。
いくつになっても! “心”も“体”も“肌”も深睡眠で健康に!
深睡眠がとれるとホルモンバランスが整いさまざまな健康効果が期待できます。
脳までリラックスでストレス緩和
“ 心”

目覚めスッキリ~で疲労回復
“ 体”

新陳代謝の活性化でハリ感UP
“肌”

出典:白濱龍太郎著『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』をもとに作成
深睡眠を導く!寝る準備のススメ
深い眠りにつくためには、体も脳もリラックスできるように、入眠や睡眠を妨げる外部刺激をなくすことが大切。ポイントは「寝具」「温度・湿度」「光」を意識し、眠りやすい環境を作ること。紹介している内容をもとに、今日から意識してみてください。

- 蛍光灯の強い光は体内時の乱れに。寝る前は暖色系照明か真っ暗に。
- 直接風が当たると自律神経が乱れ、眠りが浅く。風向きに注意。
- 外からの光漏れが安眠の妨げに。厚手の遮光カーテンがおすすめ。
- スマホの使用は、体にも脳にも刺激大!寝る前は控えましょう。
- 肩と首に沿う枕を選び、自然な寝姿勢をキープ。
深睡眠は眠りの前半に訪れます

深睡眠とは、深い眠りであるノンレム睡眠の3つのステージの中でも、最も眠りの深い段階のこと。いわゆる「ぐっすり眠っている」状態で、眠りの前半にしか訪れません。最初の4時間で2回以上とるのが理想です。
まずは2週間チャレンジ!布団で簡単! 2分で眠りの質をUP!
【深部体温を上げる】 → 座って腕まわストレッチ ≪布団に入る前に1分≫
肩甲骨や腕まわりに多く存在する褐色脂肪細胞をストレッチで刺激することで、深部体温を上げていきます。
①~④を1分間に5~6回、ゆっくりと行います。

腕を曲げて脇を開き、ひじを上げる
手を軽く握って腕を曲げ、脇を開きながらゆっくりとひじを肩の高さくらいまで上げます。

腕を後ろに大きくゆっくり回す
腕をそのまま後ろに向かって大きく1回、ゆっくりぐるりと回します。左右の肩甲骨を寄せるイメージで。

手を組んで腕を前に伸ばす
②で回したひじが体の前にきたら、両手を組み、手のひらを前に向けて腕を前にまっすぐ伸ばします。

組んだ手を頭の上でぐっと伸ばす
腕を頭の上に持っていき、伸ばして約2秒キープし、腕を下ろします。
【深部体温を上げる】 → 横になって足指曲げストレッチ
≪布団の上で1分≫
足の血行をよくすることで深部体温が下がりやすくなり、眠気を誘います。
①~②を1分間続けます。


鼻からゆっくり息を吸い、足首を体側に曲げる
あおむけに寝て、3秒くらいかけてゆっくり大きく息を吸い込みながら、足首を手前にぐっと曲げます。足首を手前に曲げると、自然とふくらはぎに力が入り、コリがほぐれて血行がよくなります。


口からゆっくり息を吐き、足の力を抜く
口をすぼめ、3~5秒かけて口からゆっくりと息を吐き切り、足首を元の位置に戻します。ふくらはぎの力を抜くイメージで足をだらんとさせ、元の位置に戻しましょう。
深部体温の上げ下げが深い眠りを導くポイント
私たちは体の内部の温度、〝深部体温〟が下がるときに眠くなるという性質があります。入浴後、しばらくすると眠くなるのはそのため。この性質をうまく使うことで、深い眠りにつきやすくなります。しかし、加齢によって深部体温は乱れがちに。そこで今回紹介するのが、寝る前に布団で簡単にできる「深睡眠ストレッチ」。軽く体を動かして呼吸を意識することで、深部体温に刺激をあたえて上げ下げして、深い眠りに入りやすくしてくれます。続けるほど眠りの質が上がりますので、まずは今日から2週間試してみてください!
呼吸と睡眠は深く繋がっています。
深呼吸で副交感神経に働きかけ睡眠の質をさらにアップ!
ぐっすり眠るためには、布団に入る時間に向けて、自律神経のうち副交感神経を優位にすることが大切。通常は夕方から夜につれ、だんだんと副交感神経が優位になるものですが、年齢とともに自律神経の切り替えがつきにくくなります。これも深く眠れなくなる一因です。そこで取り入れてほしいのが「深呼吸」です。鼻からしっかり息を吸って、口からしっかりと息を吐きだす、深くゆっくりした腹式呼吸は、副交感神経に強く働きかけ、体をリラックスさせます。上記で紹介している「足指曲げストレッチ」は、呼吸をコントロールすることで副交感神経を働かせる有効な方法です。睡眠の質を上げるために、ぜひ続けてみてください。