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今日を初めてにする、ウェルエイジングマガジン

産後から心と体のストレスを手放し始めた。女性アイドルの相談役にもなる竹中夏海の新習慣

『WELMAG』の特集「捨て活」では、心身の変化も感じやすくなる年代が、家や職場での役割が増える中で抱え込んでいるモノ・コトや、自分に合ってないと感じながらも続けている習慣などを手放していくヒントを集めました。何かを始めるには、まず何かを手放すことから。美容や運動、ファッション、食、仕事といったライフスタイルの切り口から、新しい生活習慣を始めるきっかけを、お届けします。

テレビ番組や広告、ミュージックビデオのほかにアイドルの振付やステージの演出家として活動する竹中夏海さん。若い女性たちと関わる中で、これまで触れられてこなかったアイドルの健康問題を取り上げ、女性の身体やフェムケアについての情報を積極的に発信し、健やかでサステナブルなアイドル業界を目指す活動も行なっています。

プライベートでは2児の母。2023年に第二子を出産し、忙しさ真っ只中の竹中さんがまず決意したのは、生理の悩みから飲み続けていたピルをやめ、代わりにミレーナ(子宮内に装着する避妊薬。過多月経や月経困難症の治療薬としても保険適用されている)を挿れたこと。

ほかにも妊娠中にマイナートラブル(妊娠によるホルモンバランスや、子宮・体重の変化から起こる不快な身体的症状)に悩まされていたことから、寝る前のストレッチを日課にしたり、白米食を絶って玄米食にするなど、妊娠・出産・産後をきっかけに、さまざまな習慣の見直しを行いました。

また、「自分はゴミを捨てることがストレスになる」と気づいたことからコンポストを取り入れるなど、サステナブルな方法でストレスの原因になるものをひとつずつ手放していったそうです。

毎日を過ごす中、仕事と子育ての中で気づいた違和感に向き合っていく竹中さんの「捨て活」について伺いました。

第二子出産後に、手放した習慣と始めた習慣

—— 第二子を出産し、お仕事に復帰された竹中さんですが、新たな生活の中で始めた習慣ややめた習慣について教えてください。

最近、ミレーナを挿れました。ミレーナとは、子宮に装着したら5年間は持続的に女性ホルモンを放出できる避妊具で、生理のトラブルを抱える方々の選択肢になっているものです。

私は生理が重かったので、20代の頃から生理のトラブルを回避するためにピルを飲んでいたのですが、出産がひと段落したら、いったんミレーナを挿れると決めていました。ピルを飲んでいた頃は、毎日同じ時間に飲まなければいけなかったので、その時間と管理から解放されましたね。

—— ピルやミレーナなど、自分の身体のことをオープンに発信するのは、決心がいるかと思います。竹中さんの発信で勇気づけられた方もいるのではないでしょうか。

私は若い女の子と仕事することが多いので、身体のことについてもいろいろ聞かれることが多いんです。

私がピルを飲み始めたのは生理痛を軽減するためだったのですが、彼女たちの親世代はピルに対して誤解があったり、マイナスなイメージを持っていたりすることもあります。そこで私がカジュアルに自分の経験を話したり、専門家の先生に伺ったことを共有することで選択肢を提示できたり、悩んでいる子たちに寄り添ってあげられるかなと思い、発信しています。

—— ピルを飲むことをやめた以外にも何か見直した習慣はありますか?

実は今回、マイナートラブルを片っぱしから経験したような妊婦生活だったんです。そのときに糖質カットを気にかけて、白米を玄米食に変えました。私、白米が好きすぎて多いときで4杯くらい食べていたんです(笑)。でも玄米にしたことでよく噛むようになって、今までが食べすぎだったんだと実感しました。このくらいの量でも満足できるんだなというのは、玄米に変えてからですね。食感も好きなので、産後の今も玄米食は続いています。

あとは妊娠中にぎっくり腰になって、4日ほど寝たきりになってしまって。その経験もあって、以前からしていた寝る前のストレッチをより入念にするようにしています。

仕事でも、レッスンの後に瞑想がてら必ずクールダウンのストレッチタイムを入れるのですが、それを自分の生活にも取り入れた感じですね。

ゴミを捨てるのを最小限にして、循環させていきたい

—— 今回、「捨てる・手放す」ことをテーマにお話を伺っていますが、竹中さんにとって「捨てること」はどのようなイメージがありますか?

私、もともと物を捨てることが好きではないんです。特に食べ物を捨てることにすごく抵抗があって……。でも、離乳食の始めの時期は子どもは出した料理を全部食べられないじゃないですか。そこで、コンポストを始めたんです。

夏場だとコンポストバッグの中のニオイが気になったり、虫が沸いたりするので、生ごみ乾燥機も買ってキッチンに置いて、乾燥して小さくなった生ゴミをコンポストに混ぜるようにしました。

できた土は、実家がもらってくれています。そうすることで、子どもがご飯を全部食べられなくても、簡単に食べ残しを捨てることができて穏やかな気持ちでいられるのがよかったです。母である私がイライラしているのが、家族にとって一番よくないですから。

—— ほかにも、ただ物を捨てることをしない工夫って何かされていますか?

ワンデイのコンタクトを使用しているんですが、毎日同じものを捨て続けるのも小さなストレスだったんです。2週間コンタクトなども検討しましたが目に合わなくて。これをどうにかする方法はないかと調べたら、「アイシティ」に回収ボックスがあって、そこに持ち込めばリサイクルされることを知りました。

コンタクト容器ってすごく品質のいいプラスチックが使われているそうなんです。私は半年分箱に貯めてからお店に持っていくようにしています。

あとは、大きなプラスチック容器を捨てるのもいやなので、シャンプー、トリートメント、洗顔料をすべて固形石鹸に変えました。子どもにボトルを落とされたりすることもなくなって、その点でも気に入っています。

ほかにも、子ども服や使わなくなったぬいぐるみ、育児グッズなどは「ワールドギフト」というボランティア団体に寄付しています。Instagramで知ったのですが、投稿を見ているだけでも世界中で何の需要があるのかがわかるので、とても興味深くて。このように必要な人の元に届く手放し方はいいなと思っています。

これからは心の健康のために、小さな違和感をなくしていく

—— 本当に物をただ捨てないことを徹底していますね。お話を聞いていると、ゴミの日に捨てるほうが簡単なのでは?と思ってしまうのですが……。

ゴミを捨てないというと、エコとか地球のためにやっていると見えるかもしれないんですが、私の場合は自分が生活の中で何にモヤモヤするのか、小さな違和感を突きとめて、ストレスの原因を排除しているという感覚なんです。

生活の中から「捨てる」という行為をなるべくなくしたいし、できれば循環する方法で手放したい。捨てることを捨てたいということです。ややこしいですが(笑)。

—— ストレスを手放すことで、竹中さんはこれからの未来、どんな自分になっていきたいですか?

振付師として身体はケアしてきたのですが、心と身体はつながっているから、心の健康も大切なんだなと、年齢を重ねて気が付きました。今年40歳になりますが、これからはより自分の心のケアを大切にしたいです。

いちばん避けたいのが、“圧”のある大人になってしまうこと。この先、教え子との年齢差はどんどん開くばかりですから、それだけでも年下の子たちからすると脅威だと思うんですよね。

「先生」と呼ばれる仕事を続ける限り、立場の非対称性には自覚的でいるように気をつけています。自分の中に少しでも傲慢さを見つけたら、積極的に手放していきたいです。

Interviewee

竹中夏海(たけなか・なつみ)

1984年、埼玉県生まれ。これまで500人以上のアイドルの振り付けを担当し、広告、ミュージックビデオ、バラエティ番組でも振り付けやステージ演出を担当。若い女性と多く触れ合う仕事柄、女性の健康問題についての発信も多く、著書に『アイドル保健体育』など。アイドルやカルチャーへの愛も深く、柚木麻子さんとゆっきゅんとの3人で2000年代カルチャーを語るPodcast「Y2K新書」も人気。

CREDIT

Interview&Text / Yasue Chiba
Photo / Masaru Furuya
Edit / Mai Miyajima
Production / Quishin Inc.