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今日を初めてにする、ウェルエイジングマガジン

継続が美徳とされるけど、みんなもっとカジュアルに「やめる」をやっていい

『WELMAG』の特集「捨て活」では、心身の変化も感じやすくなる年代が、家や職場での役割が増える中で抱え込んでいるモノ・コトや、自分に合ってないと感じながらも続けている習慣などを手放していくヒントを集めました。何かを始めるには、まず何かを手放すことから。美容や運動、ファッション、食、仕事といったライフスタイルの切り口から、新しい生活習慣を始めるきっかけを、お届けします。

毎年、お正月や4月から新しいチャレンジを始める方が多いのか、いつものジムにも新しい顔がちらほら。書店にも語学系のテキストが目についたり、習慣化をテーマにした本が陳列されていたり。

でも、いつもふと思います。始める、続ける、やめる、の中で「やめる」が一番難しいんじゃないんでしょうか。「続かない」はあるけど、意志を持って区切りをつけるとか、撤退することって、なかなかない。

なんせこちとら忍耐や継続を美徳とされてきたギリギリ昭和世代。習慣を手放すにも「ここまでやったんだから、頑張ったんだから」と惜しい気持ちがどうしても入ってくるし、新たにやりたいこともやらなきゃいけないことも、どんどん出てくる。

手が塞がっていたって「効率化したらどうにかなるんじゃないか?」と考えるし、時間がないなら、作る努力をしてしまう。本当は取捨選択して、やるべきことにコミットした方がいいとわかっているのに。惰性でどんどん積み重なってしまうんですよね。

と、これまで根性でなんとかしてきてしまった私にも、30代で出産・育児・退職・起業と人生のイベントがドドドっと押し寄せてきたんです。自分で選んだことですが、頼れる実家がない核家族。フルタイム共働き育児はまあ、楽しいけれどスイスイいかないもので。

0歳児のときは夫と家事育児は完全シェアしていたとはいえ、日々ふにゃふにゃ泣く赤ちゃん。入れるかも怪しい保育園、ただならぬ不安と恐怖。私のキャリア、どうなっちゃうのーーー!?

無事に子どもを保育園の0歳児クラスにねじ込み、仕事復帰を果たしたものの、一時は大好きな読書さえできなくなってしまいました。時間があっても、疲れて頭がぼーっとしちゃうんですよね。まあ楽しいし、思ったよりはなんとかなってるけど、産む前に比べるとどうしても余裕がなくなります。これは生活立て直しをしないと。

これくらい大人になると、自分のキャパくらいはまあまあ把握できているし、失敗の傾向もまあわかる。無茶をすることもなくなるし、そもそも全部おいしいとこ取りは難しいことだってわかっています。

そんな中でも、まず大事なのは「あれを諦める」じゃなくて「どれを最優先して味わうか選ぶ」のポジティブマインド。出産育児で手放したことが、なんとなーく子どもへの恨み節になっちゃうのが一番怖いですからね。

いろいろやめたことはあるんですが、まず大まかな方向性は「家族の幸福度の総合値が上がらないものはやめる」。自分の時間もばっちり楽しむけれど、「今じゃなくてもいいよね?」の取捨選択はしっかりするようになりました。

仕事関連の会食はもちろん、趣味の会合や、オタ活(25年間ハロー!プロジェクトのオタクをやっています)現場も精査。でも我慢し過ぎると自分がイライラして夫婦の会話にも棘が出ちゃうのではないか? と判断し、育児シフトを組み、その枠内で楽しむことにしました。

ハロプロ25周年のANNIVERSARY

そのうちに「いっそ飲み会とオタ活と社交と育児を同時回ししたらいいんじゃない?」と気がつきました。我が家には毎週のようにオタク仲間が遊びに来て、子どもと遊んでくれます。育児中も孤立することなく楽しめたのはオタク仲間のおかげです。

次は「全部上手くやろうとするのをやめる」。幼児期こそ育児と仕事にパワーを振って、家事を簡略化した方がいいと考えました。育児はどうにもならないけれど、家事運用は家電や外部サービスを駆使すれば負担を手放せます。

多少コストがかかっても、割り切ってみたら、生活にも余裕が出てきました。洗濯物も外に干さず、すべて乾燥機へ。収納方法も見直し、畳まずにハンガーに吊り下げたり、引き出しに投げ込んだりするだけ。買い物の時点でシワになりにくい素材を選ぶことにより、一気に楽になります。離乳食やベビーフードも市販のものを駆使して、夜もゆったり過ごせるようになりました。

遊びに来たオタク仲間が子守もしてくれた日の一枚

と、ここまではまあよくある話。自分でも想定外だったのは「会社をやめる」、つまり独立です。ずっと会社員として働いていたけれど、8時間労働から帰宅すると、育児だけで生活が終わってしまう。ならいっそ独立して自分の好きなことを仕事にした方がいいんじゃないか? と考えたのです。「やめて、しんどかったらまた戻ればいい。フリーランス(仮)だ!」と、編集者として独立開業し、今は会社を作ってなんとか楽しくやっています。

昔はやめること、手放すことに対してネガティブな気持ちがありましたし、思い切りがないとなかなかできませんでした。でも、実は凡人の人生には覚悟って、あんまり必要ないのかもしれません。

キャパオーバーにならないように、最初から手を出さないでおくってのもいいけど、やってみたら意外とイケるってこともあります。なにより、自分に制限をかけるのももったいない。もっとカジュアルに「やめる」をやっていいんじゃないでしょうか。なんとかなるし、なんともならなかったら「やめるをやめる」で、何事もなかった顔をして再開すればいいんですから。気楽に、気負わずに。

Essayist

小沢あや

ピース株式会社 代表取締役。企業メディアの運営・コンテンツ制作やアーティストの発信支援などを行う。2017年に第一子を出産後、2020年に起業。ポッドキャスト「働く女と○○と。」を毎週水曜日に更新中。

CREDIT

Text&Photo / Aya Ozawa
Edit / Miki Osanai
Production / Quishin Inc.

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